掲載日:令和7(2025)年7月23日
仮囲い緑化や立体的な緑の効果
仮囲い緑化の取組
東京都では、立体的な緑を促し、緑を増やすことを目的に、令和6年度に事業者の協力を得て、工事用仮囲いの緑化実証実験を行いました。





仮囲い緑化の前を通行した方のうち7割が、「このような緑化の取組みを今後もぜひ続けてほしい」と感じていました。特に、近くにお住いの方や近くに通勤・通学されている方は、そうでない方よりも満足されている割合が高く、仮囲い緑化が地域の日常生活に受け入れられていることが確認できました。(図1)

仮囲いに面した歩道を通行する歩行者の目線では、仮囲い緑化がない場合と比較して、緑視率が15.7~24.1%向上することが確認されました。
国土交通省が平成17年に実施したアンケート調査では、緑の量について、緑視率がおよそ25%を超えると緑が多いと感じはじめることがわかっています。仮囲い緑化は、歩行者がみどりを実感する空間づくりに役立ちます。


【虎ノ門の仮囲いにおける緑化の有無による緑視率の違い(緑化部分に緑の着色)】
立体的な緑の効果
東京都では、立体的な緑化を行っている施設において、令和6年度に各施設管理者にご協力頂き、緑化の効果を確認する調査を行いました。






調査の結果、階段状に緑化してあることで、雨水の流出量が最も多くなる時の流出量を抑制する効果があり、平面の緑地より雨水の流出を遅らせる効果が高くなることがわかりました。特に、イラストのように「階段状に排水系統がつながった緑化」の場合、流出量がピークとなる時刻を遅らせる効果が高くなります。

また、緑化は、日射による施設表面の蓄熱や熱の放出を低減する効果があることもわかりました。特に、樹木の植栽により木陰をつくることでその効果が高くなり、熱中症対策としても有効であると考えられます。
アンケートでは、緑化がなくなると魅力が下がると感じる人が多く、緑が多く見えることが空間の魅力向上に重要であるということがわかりました。特に、広場のような滞在空間の緑化は、利用する人の満足度が高くなるといえます。また、建物の入口など、日常的にその施設を使う人にとってのシンボルとなるような場所を緑化することが効果的だと考えられます。
また、まちなかに点在するみどりは、大規模な緑地との生き物の往来を助ける生態系ネットワークの一端を担っていると考えられます。ビルのテラスや工事用仮囲いでも、さまざまな緑化をすることで、生き物の移動経路や棲み処になります。

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