東京の緑

緑の取組事例

掲載日:令和6(2024)年3月26日

農を活用した地域活性化の取組 ~南大泉三・四丁目農の風景育成地区~

南大泉三・四丁目農の風景育成地区について
地区内の農地(練馬区提供)

「農の風景育成地区制度」とは、農地や屋敷林などがまとまって残る地区を指定して、地域の方とともにまちづくりとして農のある風景を守り、育てる都独自の制度です。
 この地区は、令和元(2019)年12月、4番目に指定されました。練馬区の西で、西武池袋線の保谷駅前という便利な地域にありながら、住宅地の中にまとまった農地や樹林が多く残っています。平成29(2017)年に、保谷駅周辺地区まちづくり協議会から、農地を守り活用していこうとする提言書が練馬区に提出されたのをきっかけに、地域の主導で指定されました。
 この地区では、生きた農との共存によりまちの魅力を高めることを目標に、農業者と住民が一緒になって、様々なまちづくりに取り組んでいます。

農を活用した地域活性化の取組

この地区では、都市農業の魅力発信や農地保全のための取組として、地区内の農業者により「南大泉農の風景育成地区実行委員会」がつくられています。実行委員会では、ホームページやSNSを使った情報発信とともに、ユニークなイベントが行われています。

  •  「南大泉with農フェスタ」(毎年11月頃に開催)
    令和5年度は、キーワードを完成させると野菜や果物の収穫体験に参加できる「クイズラリーで収穫体験」や、南大泉産農産物を使用した料理や新鮮な農産物の販売のほか、キッチンカーも出店する「南大泉のマルシェ」を実施。
収穫体験の様子(練馬区提供)
南大泉のマルシェ(練馬区提供)
  •  「ねりま観光ツアー」(毎年7月頃に開催/年2回開催)
    ねりま観光センター(一般社団法人練馬区産業振興公社)が主催。旬の野菜の収穫体験やブルーベリーの摘み取りのほか農業者から野菜の豆知識や美味しい食べ方を伝える。
ブルーベリーの摘み取り(練馬区提供)
炊き出し訓練(練馬区提供)

また、地区内には全国で第1号となる農業体験農園「緑と農の体験塾」があります。約150の区画があり、利用者は園主の指導を受けながら、野菜づくりを楽しんでいます。
 その他、この地区では、地域のコミュニティづくりを進めるため、震災を想定した「炊き出し訓練」を農地で行っています。訓練は、農園利用者が中心となって行われています。

区による取組の後押し

練馬区では、地区内の農業者や住民による取り組みを支援するため、令和2年度から補助制度を始めました。令和5年度の補助金は、1団体・1年度あたり100万円までとなっています。
 この制度では、農の風景育成地区内の農地や農業の魅力発信や、農地の保全につながる取組を対象としており、広報やイベント会場の設営費、協力者への謝礼などに利用することができます。
 この記事で紹介している「南大泉with農フェスタ」は、この補助金を活用し、運営しています。このほか、区のホームページや広報誌「ねりま区報」でイベントの開催告知を行うなど、広報面でも支援をしています。

南大泉with農フェスタの様子(練馬区提供)
今後の展望

南大泉農の風景育成地区実行委員会は、「農の風景や都市農地の情報発信」「農業者と地域住民の交流」「農の風景を活かした地域コミュニティの醸成」を目指し、活発に活動しています。また、住民からは、イベントへの参加を通じ農の魅力に気づくことができた、という声も寄せられています。練馬区は、実行委員会や、農やみどりに関心のある住民、町会・自治会など、地域の色々な人たちが協力して進めているこのような取組を支援するため、補助金による経費の補助や、PRに関するサポートを続けていきます。


<参考リンク>